三ツ星ベルト 好調な欧州市場に対応 販売、生産能力強化

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掲載情報:2014/07/15発行 第2061号1面


三ツ星ベルト(垣内一社長)は、欧州市場におけるドイツの販売拠点の規模拡充、ポーランドの生産能力の増強を行ったと発表した。ドイツ市場での伝動ベルトの販売が伸びを見せており、油中タイミングベルトの現地カーメーカーへの新規採用も決まったことから、ドイツの拠点規模を4倍に拡大。在庫量・内容ともに充実させることで短納期体制を実現し、販売の伸びに拍車をかける。ポーランドの生産拠点については、工場内の設備増設により、食品業界などにおける樹脂製ベルトのおう盛な需要にこたえる。 同社のドイツ販売会社である「MBLアントリーベテクニック・ドイツ」は、1988年にドイツのデュセルドルフ近郊であるノイス市に設立。納入先の拡大に伴い、現在の所在地から同市内の新住所に拠点を移すもので、在庫の充実を図るとともに人員の強化も図る。新拠点は2階建てで、床面積は現在の約4倍となる約5000平方㍍へと広げられた。Vベルト、タイミングベルト、リブスターベルト、変速ベルトなどの在庫品目・量をともに増やし、さらに短縮納入体制を強化する。
1407-2ヨーロッパ市場では、自動車用エンジンの軽量化を図る流れにおいて、金属製チェーンからゴムタイミングベルトへと置き換える方向で開発が進んでいる。ゴム製ベルトは従来、オイルが付着するエンジンブロック内では使用できなかったが、油中で用いられる金属製チェーンを上回る耐久性を備えたゴム製のタイミングベルトを、同社では2012年に開発。油中タイミングベルトとして富士重工業の汎用エンジン用において2年以上の使用実績を重ねており、耐久性能が認められたことで、ドイツ現地のカーメーカーであるフォルクスワーゲン社への納入も決まっている。
チェーン駆動システムに不可欠なガイドが不要となり、エンジンの軽量化だけでなく駆動による低騒音化も実現。金属製チェーンに比べて伝動効率に優れていることから、エネルギーロスが低減され、クルマの燃費向上にも大きく貢献する。三ツ星ベルトの検証によると、システム重量で35%の軽量化、騒音で5~10dBの低減が図られ、伝達効率は3%の向上が図られる。油中タイミングベルについては今後、ヨーロッパ市場において飛躍的な需要の増大が予想されることから、ドイツの拠点の整備を行い、納入体制の一層の強化を図る。 ポーランドの製造拠点「ミツボシ・ポーランド」では、工場内におけるフリースパンベルトの生産設備増強を実施した。ヨーロッパ市場では、樹脂製ベルトの需要がおう盛で、三ツ星ベルトに対しても精度と耐久性を備えたベルトへのニーズが増加。フリースパンベルトは長さを自由に指定することができる樹脂ベルトで、長距離の往復運動、長いスパンの回転運動にも使用が可能。樹脂製の特性を生かし、食品衛生法に適合する素材を採用しており、食品製造機械や、搬送物を指定場所へ決め置きする機械、各種検査機器など、幅広い用途での採用が期待されている。同社では、工場直結による短納期製造体制を構築しており、能力増強により、需要の高まりを受けながら短納期製造体制の一層の強化を図った。