摩擦伝動ベルトの損失について
「ベルト伝動・精密搬送の実用」P37の(2)ベルトがプーリに巻きつくことによる損失項にございます式(2.68)にて材力変形の基本式よりひずみ量を算出されておりますが、この考え方(基本式)でよいのでしょうか?この考え方から曲げロス(動力損失)まで導く過程は問題ないかと思いますが、式(2.68)の考え方をしてしまいますと曲率半径に依存し接触角に影響されないという解釈になります。しかしながら、同曲率半径環境において10度巻きつけるのと180度巻きつけるのでは、ベルト変形量が異なり、曲げロスも変わってくると思うのですがいかがでしょうか?
ベルト本での理論式は,あくまで「ベルトがプーリに巻き付く(ベルトが直線から曲線に変形する)際の曲げ損失」を述べたものです.従って,ベルトの巻き付いた角度の大小に関係なく,ベルトの縦弾性係数,ベルト断面形状,曲率半径の関数となっており,ご指摘のように,巻き付け角のファクターは入って来ません.巻き付いた後の損失は弾性すべりや曲げ剛性による損失を計算し,これに巻き付く際の曲げ損失を加算することで求められると思いますが,そのような研究成果は未だ発表されていません.巻き付け角も考慮に入れたベルト損失は,今後の研究成果を待っているのが現状です.また,前記巻き付き後の摩擦損失と併せてこの現象に影響しているのが同じ曲率のプーリで曲げられても,巻き付け角度が浅い場合には大きい体積のベルト全体(特に底ゴム部)に生じる曲げ歪みが,巻き付け角度が深い場合と比べて小さくなる点です.(スパン部分に曲げによる歪みが分散する)この現象は理論で説明するのは困難と思われ,FEMなどで検証するしか手段がないと思われます.以上,結論としては質問者様のご指摘通り現実には接触角度により動力損失は変化しますが,それを考慮した理論式や解析結果は確立されておりません.もしご質問者様にて上記を考慮した理論式の考察などが得られましたら,是非ご紹介をお願いいたします.