ベルトの限界角度はどう見積もれば良いでしょうか?
ベルトの限界角度について、“ベルト伝動・精密搬送の実用設計”には
sin(\frac{\alpha}{2})/cos(\frac{\alpha}{2})\mu
とあり、すなわち
tan(\frac{\alpha}{2})\mu
となりますが、実用的な摩擦係数はローエッジVベルト等の場合、\mu=0.512とあり、上記の条件を満たすにはベルト角度α/2=27°以上が条件となります。ここで、Vベルトを用いた変速装置を検討するにあたり、上記角度では移動プーリのストローク等、レイアウト性が困難な場合、角度を小さくして、条件式を満たさなくても良いのでしょうか?仮に、条件式を満たそうとすると、摩擦係数を低く見積る分、プーリ側圧を多めに与えるとすれば良いのでしょうか?
まず,\muはくさび効果を考慮したローエッジVベルトの周方向摩擦係数の値で、巻きつき角180°で緩み側張力に対して張り側張力が5倍あれば大スリップしないところから逆算された値です
\frac{T_t}{T_s}=e^{\mu
\theta=\pi radのとき\muとなります)。
角度40°のVベルトの場合これにsin(\frac{\alpha}{2})を掛けた値がくさび効果を考慮しない\muとなります.\mu=0.512\times0.34=0.174。従いましてtan(\frac{\alpha}{2})\muを満たす\frac{\alpha}{2}は9.9°となります。(P34の2行目にありますように 一般的には くさび効果を考慮しない周方向の摩擦係数と 径方向の摩擦係数は同じとすることが多いので\mu_r=\muとなります。)ただし、\mu\mu=0.174)はベルトが大スリップしない様に安全を見た値ですので、実際の変速ベルトのμ値としては\mu=0.2~0.3が多く使用されます。\mu=0.3の場合\alpha>33.4°ということになりますが、実際にはプーリからベルトが抜け出る際に多少引っ張られても問題にはなりませんので、厳密にこの式を満足しなければ使用できないというわけではありません。ちなみに、ISO1604では一般産業用変速ベルトとして\alpha=24~30°の変速ベルトが規定されています。