多軸伝動レイアウトでの張力について教えてください
直角三角形3軸配置、30度の角で駆動し60度、90度の角でトルクを半分ずつ負担、回転方向30,90,60度の順、プーリ径はすべて同じ、の場合の取付張力と駆動中の各ベルトの張力の関係式、考え方について教えてください.
ご提示頂いた3軸配置について,ベルトに生じる各張力について回答させて頂きます.プーリ1は反時計回りに回転し,ベルトはプーリ1→プーリ3→プーリ2と周回します.

まず,動力から各プーリに巻き付いているベルトの有効張力\(T_{e1}\),\(T_{e2}\),\(T_{e3}\)を計算します.
プーリ1,2,3に作用するトルクをそれぞれ\(T_{q1}\),\(T_{q2}\),\(T_{q3}\)とすれば,
\[T_{q1}=\frac{\phi}{2} T_{e1} \]
\[T_{q2}=\frac{\phi}{2} T_{e2} \]
\[T_{q3}=\frac{\phi}{2} T_{e3} \]
となります.ここで,\(\phi\)はプーリ直径[mm]です.もしくは,動力ベースで考えれば,プーリ1の回転数を\(N_1\)[rpm]とすると,ベルト周速\(v\)[m/s]は
\(v = \pi \frac{\phi}{1000} \frac{N_1}{60}\)
となり,有効張力と動力\(P_{1}\),\(P_{2}\),\(P_{3}\)との関係は
\[T_{e1}=\frac{1000 P_1}{v}\]
\[T_{e2}=\frac{1000 P_2}{v}\]
\[T_{e3}=\frac{1000 P_3}{v}\]
となります.ここで\(P_1=P_2+P_3\)です.次に,2つの従動プーリの伝達動力を受け持つ原動プーリ1について,最もスリップしやすいと仮定し,プーリ1に作用する張力について考えれば,2軸伝動の際と同様に
\[T_{12}-T_{31}=T_{e1}\]
\[\frac{T_{12}-T_c}{T_{31}-T_c}=e^{\mu \theta_1}\]
が得られます.ここで\(\mu\)および\(T_c\)は,ベルト-プーリ間の最大摩擦係数および遠心張力(\(=mv^2\))となります(ベルトの周速が十分小さい場合,\(T_c\)は0と見なせます).上式を解けば
\(T_{12}=\frac{e^{\mu \theta_1}}{e^{\mu \theta_1} -1} T_{e1}+T_c\)
と計算できます.同様にプーリ3および2についても考えれば
\[T_{23}=T_{12}-T_{e2}\]
\[T_{31}=T_{23}-T_{e3}\]
と各スパンでのベルト張力を求めることが出来ます.理論初期張力T_0は各スパンの張力\(T_{12}\),\(T_{23}\),\(T_{31}\)を平均すれば良いですが,各スパンの長さ\(l_{12}\),\(l_{23}\),\(l_{31}\)が異なる場合,それぞれのスパンでのベルトの伸びを考慮し,
\[T_0=\frac{T_{12} l_{12}+T_{23} l_{23}+T_{31} l_{31}}{l_{12}+l_{23}+l_{31}}\]
と計算します.これが,プーリ1(原動プーリ)でスリップすると考えた場合の張力の考え方になります.
一方,レイアウトや各プーリでの動力によっては,原動プーリ以外でスリップが生じる場合もあります.そのため,従動プーリ(プーリ2および3)について,以下の式が成立するかを確認する必要があります.
\(\frac{T_{12}}{T_{23}} \leq e^{\mu \theta_2}\) :プーリ2
\(\frac{T_{23}}{T_{31}} \leq e^{\mu \theta_3}\) :プーリ3
この両式が成立する場合,(プーリ1でスリップが生じるという仮定に基づいた)先の張力の考え方で問題ありません.
一方,両式のいずれかが成立しない場合,例えば,プーリ2での式が成立しない場合,プーリ2について,張力を再計算し,その結果を用いて,プーリ1および3での張力を再計算する必要があります.

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