西部ゴム商組 「ベルト商工懇談会」を開催

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掲載情報:2013/11/15発行 第2037号1面


西部工業用ゴム製品卸商業組合(祖父江一郎理事長)が主催する「ベルト商工懇談会」が11月5日、大阪市北区の中央電気倶楽部で開かれた。商業者側からは組合を代表して祖父江理事長、清水俊文事業委員長、片山孝ベルト部会長らが出席。メーカー側としては三ツ星ベルト・産業資材事業本部・営業第一統括次長の熊田隆文氏、ニッタ・営業本部の滋野隆広副本部長、タイヨウの小林秀光社長が招かれ、総勢約20人がベルト業界の現状や課題などを話し合った。今後の業況が最大の焦点となっており、価格動向の見通しのほか、震災からの復興需要、東京オリンピック開催がもたらす市況への効果などに関心が集まった。
開催に先立ってあいさつに立った祖父江理事長は「先ほどの話し合いによると、各社とも前年同期をキープす1312-1
るという喜ばしい状況が聞かれたが、先行きを見通すとあまり明るい材料が見られないように思う。東京は好調ながら関西では確かにユーザーが減少しており、海外で展開している企業が2001年度には1887社だったものが11年度には2・2倍の4258社にまで増加している。我々も地盤は関西だが、全国各地で事業を展開しており、顧客が日本から出て行ってしまうというという問題は日本全体を覆っている。本日はメーカーにも出席して頂いているので、率直な意見をお聞きしたい」と要望を述べた。
生産・販売状況の報告は、メーカー側を代表して熊田次長が担当。ユーザー業界であるOA機器業界は厳しい現状を報告したが自動車、工作機械については「本格回復には至っていないが、明るい兆しは見えつつある」と説明した。農業用機械については「海外向けが5%アップするなど堅調で、特にアジア向けが増えている。今までは本体中心だったが、現在はアフターケアで補修部品が需要を伸ばしている」と現状について述べた。引き続き9月までのゴム・樹脂ベルトの生産実績について報告。食品・飲料分野で晴れ間を見せており、この分野が需要の伸びに貢献。搬送ベルトの上半期(1~6月)の実績として、物流は前年同期比112%、物流機械で同103%と伸長しており、好調さが続いている。
質疑応答に入り、商業者側から「値上げの可能性」について問われたメーカー側では「原料価格が落ち着いており、ただちに価格転嫁する必要性はない」「値上げする市況ではなく、むしろ海外品との競合で値下げムードが盛り上がっている」という回答が得られた。震災需要について聞かれると「工場設備等の復旧時期にはVベルトなどが伸びたが、今はインフラ整備に需要の方向性が向いている。仙台あたりから受注の話も聞かれるようになっており、復興需要は出てくると見ている」と返答。東京五輪による特需については「インフラ整備などで鉄鋼関係における伸びが考えられる。大型ホテルや施設の新設による需要も見通せるが、家電などによるプラスについては疑問で、業界への貢献には繋がらない」との予想を示した。その一方で、「五輪による観光客2000万人を政府が目指していることから、この7年間で空港整備などによる需要が期待される。複数の空港でのバゲッジ部分の整備だけを考えても、ある程度の投資は期待される」との見通しを示した。  ベルト業界の現状としては「物流面で、ロジスティックスの部分が伸びており、06年のピークに匹敵する投資案件の話も聞かれる。通販業界の活況に裏打ちされており、大手のネット通販業者への納入も増えている」と現状を明かし、業界の明るい話題を提供した。