搬送ベルト特集 中興ベルト

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掲載情報:2014/02/25発行 6面


「フッ素樹脂ベルトは、通常の樹脂搬送ベルトに比べ、非常にニッチな製品だが、だからこそ長くやれている。これからはベルト単体にとどまらず、周辺製品についても展開を図るため、新分野についてリサーチを行っている」と話すのは、昨年10月に中興ベルトの社長に就任した今里英雄氏。
同社は平成21年9月の設立で現在5期目。フッ素樹脂の加工製造で実績を持つ中興化成工業のグループ会社。フッ素樹脂ベルトの展開も、中興化成の時代を含めれば約半世紀にも及ぶ。特化した営業活動はスペシャリストならではの独自性で、高い評価を得ている。東京、そして大阪、名古屋に営業部を持つ。ベルトの製造は中興化成の松浦工場(長崎県)、そして各地に協力工場を持つ。
同社の製品は、ヒートシール、非粘着、熱処理、プラスチック加工、高周波、その他用途と、フッ素樹脂の高い機能性を活かし、厳しい使用環境で活躍している。塩ビシートの製造ラインでは、幅広、長尺、厚物を得意とする同社のシェアは高い。また、ゴム基材にフッ素樹脂フィルム等の表面加工を施した「Rタイプ」等、ユニークな商品構成で樹脂搬送の分野で特異な地位を築いている。
今里社長は「フッ素樹脂ベルトの需要業界は、食品を始め、半導体、自動車と多岐にわたる。ただ今のままでは、国内で大きく伸びていくのは難しい。これからは、新分野をどう攻めていくか、また、そこには売上高の1桁台にしか過ぎない海外売上高をどう伸ばしていくかも係わってくる。幸いに海外でも、品質を求める時代となってきており、売上を伸ばしていく余地はある」と言う。また「搬送ベルトの分野では、メンテナンスのサービスが大きな比重を占める。サービス体制の構築も今後の展開のカギを握ってきそうだ」とも。
フッ素樹脂ベルトは、エンドレスや蛇行調整、張力調整が難しいだけに、同社では技術ライセンスを取得した担当者がサービスにあたっている。現在その数は協力企業も含めると約20名。
「4月からは新たな体制で、飛躍を目指していく。まだまだフッ素樹脂ベルトを知らない分野もあり、金属ベルトからの代替等も含め、搬送ベルトの新規需要を開拓していきたい」と述べている。