ベルト伝動技術懇話会講演会を実施

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掲載情報:2016/10/05発行 228号3面


ベルト伝動技術懇話会(飯塚博会長)は、企画委員会主催の「第22回講演会」を9月23日午後1時から5時まで、同志社大学今出川校地室町キャンパスの寒梅館で開催した。%e3%83%99%e3%83%ab%e3%83%88%e4%bc%9d%e5%8b%95%e6%8a%80%e8%a1%93%e6%87%87%e8%a9%b1%e4%bc%9a%e5%85%a8%e6%99%af

今回は「CVTの要素技術~材料から製品まで」と題し、ベルト伝動設計の基礎から応用まで、幅広いテーマで講演が行われた。

企画委員長の佐藤英之氏(椿本チエイン)は、「今日の講演会が、皆様にとって有意義な時間となることを願っています」と挨拶し、講演に移った。

最初に「モーターサイクル及びレクリエーションビークルにおけるCVTの利用」のテーマで、ヤマハ発動機・海野敏夫氏が講演。

%e6%b5%b7%e9%87%8e%e6%b0%8f 海野氏は、海外で約9割の売上を占めている同社の実情を踏まえ、アセアン諸国やインドでのゴムベルトCVT採用事例を説明した。排気量50㏄から1000㏄のスノーモービルまで幅広く使用されている変速ベルト。「CVTは、スロットルだけの簡単操作で、お客様がわくわくする走行性能と利便性を提供できる。簡単で快適なCVTは今後も市場拡大が期待できる」と結んだ。

 

続いて、「二輪車用変速Vベルトにおける動力損失要因の分離方法」と題し、バンドー化学・西川隆氏が講演を行った。%e8%a5%bf%e5%b7%9d%e6%b0%8f

西川氏は「耐環境性の向上や化石燃料問題と合わせ、購買意欲促進のためさらなる車両の燃費向上が要求されており、ベルトの効率向上が求められている」との観点から、ベルト高率に影響する各動力損失要因を分離する手法を紹介した。

 

3番目は「ゴム材料の劣化現象とその分析方法」のテーマで、化学物質評価研究機構・三輪怜史氏が説明した。

%e4%b8%89%e8%bc%aa%e6%b0%8f 三輪氏は、劣化に起因する減少と再現試験方法、熱老化、酸化劣化、光劣化、疲労劣化、オゾン劣化、そして消臭や殺菌で最近使用されているオゾン水による劣化、水道水による劣化、金属害等について、ゴム種ごとに説明を行った。

最後は「スーパーグロースカーボンナノチューブ(SGCNT)と複合材料への応用展開」と題し、日本ゼオン・武山慶久氏が講演した。%e6%ad%a6%e5%b1%b1%e6%b0%8f

武山氏は、注目を集めているSGCNTの量産技術開発、工場建設、ポリマー複合材料のCNT分散状態と物性等について説明した。従来の乾式混練り法とは異なる独自の手法を用いることでナノオーダーの分散性を実現し、ポリマー複合体においてネットワーク構造を形成することにより、高温高強度や高疲労特性、少量添加で低抵抗な材料を作ることが出来たことなどを解説した